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「学校効果」論入門――ネオリベ的「全国学力調査」活用ガイド




下位県「強い衝撃」、上位県「分からない」 学力調査2007年10月25日

 「強い衝撃」「びっくりした」――24日公表された学力調査の結果に、全国の教育委員会や学校がとまどっている。教育政策を打ち出す中央教育審議会の委員は、220万を超える子どもたちが参加した調査の高い正答率を歓迎する。だが、そうなった要因となると、実施した文部科学省自身、十分に分析できておらず、これからの課題となる。

 正答率が全科目で最下位だった沖縄県の仲村守和教育長は「強い衝撃を受けた」と話す。88年度から学力向上を最優先に取り組んでおり、「成果はいくらか出るだろう」と考えていたからだ。県教委は、検証改善委員会を年内に設け、文科省には、教員の加配や結果を分析する専門官の派遣を求める方針だ。

 小学校国語は知識45位、活用44位、中学校国語は双方が45位だった大阪府教委の藤村裕爾・小中学校課長は「極めて厳しい。考えられる限りのことはやってきたつもりだったが」と苦渋の表情を浮かべた。

 府教委は、成果をあげている小中学校を調査してガイドラインをつくり、底上げを図る矢先だった。ある公立中の校長は「府全体の数値とは言え、学校は矢面に立たされる。保護者や地域の信頼を取り戻すには時間がかかるだろう」と話す。

 中学全科目で46位の高知県は、「土佐の教育改革」を97年度から続けてきた。県教委は「十分に力を引き出してあげられなかった。子どもには申し訳ない」という。

 「厳しい結果。早急に分析していきたい」と言うのは、全国平均を下回る科目が多かった茨城県教委。来年度から理数教育を重視する方針だ。

 中学数学の活用で3位だった岐阜県。数学が専門の各務原市立鵜沼中の西垣誠校長は「これで、これまでの取り組みに自信がもてた」と話す。県内では「問題解決型」として、生徒同士が意見を出し合い、解答を導き出す過程で数学的思考を身につける学習を進めてきたという。

 ただ、正答率が平均を上回った県でこうした声は少数派だ。

 小学校が全科目で1位だった秋田県の根岸均教育長は「厳しい結果を覚悟していた。びっくりしている」と謙虚だ。

 (1)全国に先駆け01年から少人数学習(2)02年から小4〜中3全員を対象に学習状況調査(3)05年には算数・数学学力向上推進班を設置――県教委は、こんな取り組みが実を結んだとみるが、「なぜこんなに良かったのか、はっきりしたことは分からない」が本音だ。

 ただ、大半は団子状態で、小学算数の活用では正答率63.6%に実に10県が並ぶ。文科省の担当者は「特に上位の差は小さく、簡単に入れ替わる状況。あまり気にすべきでない」と話す。

 ●文科省、さらに分析へ

 結果はこの日、中教審の初等中等教育分科会で説明された。

 分科会長の梶田叡一・兵庫教育大学長は正答率について「率直に言って、よくできている。都道府県の差も少ない」。渡久山長輝・元日本教職員組合書記長は「学力との相関を分析し、格差が拡大しないように」と要望した。

 しかし、都道府県や地域差の要因を、文科省は説明できていない。例えば沖縄について、藤野公之・主任視学官は「四則計算や円の面積の正答率が低く、記述式問題で無解答率が高い」と話すが、なぜそうなったかの分析はない。正答率が高い県の理由も「分からない」と繰り返した。

 昨年の予備調査では、「本が何冊あるか」「美術館や劇場などに行くか」などと家庭の状況を尋ねた。だが、「プライバシーに踏み込みすぎ」と批判され削除した。失業率や景気状況などとの関連も「簡単に結びつけるのは危険」という。

 小中学校の全教科で3位以内に入った福井県の教委や校長は、好成績の一因として、少人数学級や、地域や保護者の支援を挙げる。逆に結果が低迷した北海道教委も、昨年度から放課後の個別指導や分かる授業づくりに取り組んでいる。

 今回の調査では、こうした取り組みの有無を学校ごとに調査した。ところが、文科省は「データが相矛盾している」「同じ条件で比べないと難しい」として、学力向上に結びついているのか判断できないでいる。


http://www2.asahi.com/edu/chousa2007/news/TKY200710240857.html

僕も文科省の役人と同様、都道府県レベルの格差は「あまり気にすべきではない」と思います。差が小さいということもありますが、都道府県というのは単位がデカすぎるからです。たとえば東京だったら、田園調布のような高級住宅街も、葛飾区のような下町も、多摩のようなニュータウンも、みんな一緒くたになってます。だから、都の内部でデータが打ち消しあってるので、他の道府県の数値と比べてもしょうがないのです。

 現在のところ、学校レベルでの個別データは公表されてません。けど、学校にはデータが届けられているようなので、そのうち自主的に発表する学校も出てくるでしょう。では、学校ごとの成績がわかれば、それによって直ちに学校の優劣を判断することができるでしょうか?

 もちろんそんなことはありません。子どもの成績は、何よりも所属階級に影響されます。学校に入る前から、もう結果は決まってるようなものです。「良い学校」が子どもを「優秀」にするのではなく、「優秀」な子どもが集まってくるから「良い学校」なのです。

 だから、ただ単純に生のデータを学校間で比較してもしょうがありません。親の職業、収入、国籍・民族といった要素を統計的にコントロールした上で、それでもなお残っている格差、それが「学校効果」です。

 ネオリベ先進国のイギリスでは、この「学校効果」についての研究が盛んです。これについて、8年ほど前に大学の授業のために書いたエッセイを直したものを↓にUPしております。