大手新聞社の友人が教えてくれなかった業界事情ーーはてなサヨクの立場を離れてあえて言う
僕には大手新聞社に勤めるエリート記者の友人がいます。
そして彼が教えてくれたのですが、日本酒に氷を入れて飲むのは反則だそうです。
それ以外の「裏話」的なことは、多くを語ってはくれませんでした。
僕、ひょっとしてあんまり好かれてないのかなあ。
と悲嘆にくれていたところ、↓の記事を読みました。
大手新聞社の友人が嘆く「一次情報の蹂躙」
まずここでの「一次情報」の定義がよくわかりませんが、大丈夫です。嘆く必要はありません。嘆くとしたら、重症の非モテ思考です。
想像してみてください。
記者がネタをゲットして、記事にする。
それを受けて、ネットや他社が後追い報道する。
それ、何かいけないことですか?
うーむ。
じゃあ、今度は逆の想像をしてみましょう。
もし面白ネタをゲットして報道したのに、他のマスコミはそれを完全にスルーする。
具体例を挙げましょう。
たとえば、リクルート事件です。
記憶違いでなければ、あれは朝日新聞の川崎支局によるスクープが発端でした。
けども、間髪置かずして、読売も、毎日も、産経も、報道しました。
NHKもニュースステーションも同様です。各種週刊誌だってそうです。
そうして始めてこの事件は広範囲にわたって、一般庶民のレベルまで認知されました。
もちろん、各社は後追いをするにあたって独自の取材を緊急に行いました。そのことによって、この事件についての全容が徐々に明らかになっていきました。
さて、逆のシナリオを想定してみましょう。
朝日がスクープする。その日の他社の夕刊を見ても「リクルート」の「リ」の字もない。
要するにスルーです。
となると、朝日の読者にしかこの大ニュースは知らされないことになるし、他社による裏付け調査も行われないので、なんだかうさんくさい話になります。
さて、ここで質問です。あなたが一流新聞社の記者だとして、どっちが嬉しいですか?
どう考えたって前者でしょ?
というわけで、何も嘆く必要はありません。
ネットのニュースサイトが登場したことによって、一記者を発端とする報道のリーチ(ホリエモン用語)は格段に拡大しました(ってゆっても大したことないけどね)。ってことは、それに対する検証もまた必要になってくるのであり、ということはつまり、記者の当初の努力はますます大きな成果につながっていくということです。
というわけで、普通に考えて、新聞記者がニュースサイトや他社に後追いされて困ることは何もありません。
ただ、大手新聞記者って、どうですか? もし旧友がその道で成長を続けているとしたら、嬉しいことですよね。普通の感性だったらそういう感情が浮かびます。
けどね。ただしね。もしその友人が自慢話ばっかり始めたらどうですか?
正直、感じ悪いです。
で、増田さん、あなたの友人はそこまで読んでいるのです。
で、本当は特に不満はないのだけど、グチらしきことも言っておかないとなあ。
そう思って、あなたにその話をしたのです。
逆に聞く側のマナーもあります。そうか、そうか、どの業界も大変なんだね。まあ、飲めよ。ほら。まあまあまあまあまあまあまあ。あ、もう入ってないや。すみませーん!!! お銚子もう一つお願いします。
これが、大人です。
さて、以上を踏まえて言いますが、いわゆる「スクープ」に何の価値もないわけではありません。逆です。もんのすごく大切です。
ただし、それは読者にとってのことではない。
読者からすれば、「後追い報道」というシステムのおかげで、どの新聞を読んでも(少しばかりの時間差はあれ)同じ情報を得ることができます。
では、「スクープ」にいかなる価値があるのか?
ズバリ、同業者からのリスペクトです。
これ、マスコミに限らず「プロ」や「芸術家」にとっては最も大切な栄誉で、もちろん出世にも関係あります。
けど、出世とか度外視しても、同業者からの評価が気になって気になってしょうがないのがプロというものです。
新聞では、最初に記事にした人の名前なんか載ってないことも多いし、たとえあっても一般読者の目にはとまりません。が、同業者にはわかってます。
そういうのが、プロの快感です。繰り返しますが、これは出世にも関係するし、金銭にも換算できないこともない。
けど、そういうのを超越した次元で「ウーーーーーヒャッホーーー!!!」となるのです。
というわけでまとめますと、無問題です。安心してください。
今日も平和です。
グッナイ!
そして最後に、本当に大切なことを言います。
id:kokoroshaさんが繰り返し強調していることですが、仕事以外でネットを長時間やってるのはごく少数派です。
たとえばj-castと朝日新聞なんて、影響力はまったく比較にもなりません。
もし、仮に増田さんのご友人が本当の本当に嘆いているのであれば、いや、僕はそれはないと思うんですが、万が一そうであるとあなたが思われるのであれば、そう言って慰めてあげてください。