(元)登校拒否系

反学校、反教育、反資本主義、反歴史修正主義、その他もろもろ反対

「主要メディア」がそんなに悪いなら、なんであなたごときがそれに批判的でありうるの?





変わらない米メディアのイスラエル擁護報道 (金平茂紀


http://www.the-journal.jp/contents/ny_kanehira/2009/01/post_1.html


 まず最初にズバリ言っておきますが、アメリカのブルジョア新聞のレベルは、信じられないくらい高いです。

 たとえばニューヨークタイムズを、朝日新聞の英語版、みたいにイメージしてはいけません。

 たとえて言うならば、スープヌードルラーメン二郎、くらいの違いがあります。

 おなじ「新聞」というカテゴリーに分類すること自体、ためらわれるほどです。


 さて、金平さん。

 ふむふむ。ニューヨークタイムズがひどいんだね。

 そらあ、ひどいさ、ブル新だもの。


 けどね、じゃあ問いたい。

 なんであなたごときに、ひどいということが見抜けてしまうの?


 社説の言葉尻をとらえてる場合じゃないですよ。

 記事を読んでください記事を。

 素直に読めば、わかりますよ、すぐに。


 イスラエルハマスの圧倒的な軍事力の格差。

 ハマスは世界で最も民主的な選挙で権力を握ったこと。

 ガザ地区閉鎖により、それ自体が収容所と化していること。

 そしてそのガザの人口密度は世界でもトップランクで、

 ということはつまり、どんなに精密な兵器を使用しても、

 それは無差別大量虐殺となること。

 ハマスではなく、パレスチナ人民、ハマスに命がけで抵抗してきた人民も含めて、

 みんないっしょくたに殺されていること。

 そして、これは経済封鎖、医薬品までも取り上げることによって継続してきた

 虐殺が、質を変えて表面化したものに過ぎないということ。

 また、オバマは終始一貫して、選挙期間中を通して、イスラエル支援の姿勢を

 折に触れて強調してきたこと。まったくブレはなかった。


 これら全てのことは、「主要メディア」を見たり読んだりすることによって、

 誰にでも把握することができる。


 もちろん、インディ系の活動は重要だ。っていうかそれが全てだ。


 しかし、上記のことくらいであれば、本当に「主要メディア」で充分なのです。

 これ本当。

 定期的にアメリカの高級紙のサイトを訪れていればわかる。

 ネット環境がなくても、The Daily Yomiuriワシントンポスト特約記事とか読めばわかる。

 アメリカに行く必要、全くない。


 とは言え、「主要メディア」はイデオロギー国家装置であることに変わりはなく、もちろん打倒されるべきだ。

 しかしだね。TBSよ、もまいが言うな!

 と、わたくしは言いたい。


 さて、アメリカの「主要メディア」に比べると、日本の新聞やテレビは恐ろしくレベルが低い。*1

 これには言い訳があって、たとえばニューヨークタイムズはインテリ向けだが、

 朝日新聞大衆紙である、というようなことが言われる。

 いやいやいやいや。

 違います。

 その根拠になっているのは発行部数の比較だが、日本の大新聞の巨大部数はその大衆性に由来するのではなく、

 「全国紙」という制度によるところが多い。


 ニューヨークタイムズの読者も朝日新聞の読者と同じようにバカだし、また同じように知的だ。

 そしてそのような客観的諸条件のもとで何ごとかをなすとすれば、

 やはりそれは個々のジャーナリストの自由であり、選択であり、責任である。


 というわけで金ピー、文句があったらTBSで何かやってみなさい。

 最近はほとんどテレビ見ないけど、事前にメールくれたら見てやるよ。

 携帯のワンセグで。


 さて、ここからが本題である。

 金平さんはアメリカ「主要メディア」を告発する。

 しかしそのことが金平さんごときにできてしまうのだとすれば、

 それはプロパガンダとして成功しているのだろうか?

 「オレオレ」と電話をして、「あ、これはオレオレ詐欺だ!」と凡人にさとられてしまうような

 詐欺師は転職を考えた方がいい。


 とすれば。

 なぜ、アメリカ国民の多数派はイスラエルを支持するのであろうか?

 少なくとも、イスラエルを支持する政治家を大統領に選んだのであろうか?


 一言で答えを言います。

 「無知への意志」です。


 彼らは、我らは、わざわざインディ系ブログなどをチェックしなくても、

 普通に茶の間で得られる情報によって、イスラエルの暴虐非道を認知することが可能である。

 金平さんにでさえそれができたのだから、平均的な人にはそれは容易であるはずである。


 しかしその上でなおイスラエルを支持するとしたら、

 あるいは反イスラエルの直接行動に参加しないとすれば、

 それはその人の選択なのだ。

 それが自由ということである。

 そして彼らはそれに対して、自らの無知に対して、責任を負っているのである。


 そのことを、僕は↓で書いた。



「永遠の嘘をついてくれ」――「美しい国」と「無法者」の華麗なデュエット


前編: http://d.hatena.ne.jp/toled/20070726/1185459828

後編: http://d.hatena.ne.jp/toled/20070727/


 当初、僕はこれを個人的なジジェク勉強の練習問題のつもりで書いた。

 しかし、よくよく考えてみると、現代日本において、これを読んでないとろくな結論が出てこないということがわかってきた。

 したがって、反自由党では緊急に幹部会を開催し、全員一致の圧倒的多数で次のような決定をくだした。

 ↑を読まない者、日本語の識字力があり、ネット環境があり、各種障害などやむをえない事情がある者を除く全ての者、にも関わらず読んでない者に対して、今後一切の政治的発言を禁止する。たとえ悪意がなくても、↑を読まないことは客観的な犯罪である。


 さて、では読んでください。




 それを踏まえて言います。

 新たな問いを提出しよう。

 なにゆえに、左派知識人は「教育」や「メディア」を悪者にしたてあげ、大衆がそれに騙されることを嘆くのか?

 何が彼らをそうさせるのか?


 問いを出していきなりですが、ファイナルアンサーです。

 一言で言います。

 「自由からの逃走」です。

 そして「責任のアウトソーシング」です。


 我が愛すべきインテリ諸君よ。

 君たちは知っている。

 何が正義で、今、何をなすべきかということを。


 たとえば、こんなことが可能だ。

 君たちは、私たちは、圧倒的に少数派である。

 しかし、少なくとも東京だけで100人はいる。


 うまくやれば、外務省の占拠は十分に現実的な目標でありうる。

 アメリカ大使館はちょっと無理だ。あそこは1,000人必要だし、流血も覚悟しなくてはならない。

 イスラエル大使館は微妙だ。

 しかし日本の外務省であれば、完全に非武装で、完全に非暴力で、直接行動が可能だ。


 そうなのである。

 大衆を啓蒙している場合ではない。

 これは君の、僕の問題だ。

 もうやめろ、「メディア」や「教育」を言い訳にするのは。


 そして、インテリ自身が、僕や君がやればいいのだ。

 非暴力直接行動を。

 市民的不服従を。

 緊張関係を作り出せ!

 そしてそれは常に少数派が始める。


 キング牧師の演説を見たまえ。

 この人数はなんだ! ワシントンを埋め尽くす群衆。

 しかし、彼は一人だった。一人から始めた。

 また、ローザ・パークスは現在では英雄である。

 しかし彼女の前には、無数の「一人」がいた。

 彼らは無念のうちに死んだ。

 あるいは生き残っても、誰にも知られず、臍をかみながら生きている。


 「大衆」を言い訳にするな。

 かわいそうな彼らに正しい知識を授けることに悪戦苦闘している場合ではない。

 君はインテリだ。

 君はすでに覚醒している。

 そして君は自由だ。

 僕は自由だ。

 それが人間というものである。

 それが歴史というものである。


 一回限りの人生だ。

 やりたいことをやろう。

 生きたいように生きよう。

 観客席にいるつもりなのか?

 しかしそれならば何のために生まれてきたのか?

 そして、残念ながら、あるいは神の恩寵により、

 あるいは人間の自由により、

 つまり実存が本質に先立つことにより、

 観客席はない

 観客席にいるつもりでいても、それもまた参加の一形式なのだ。


 幸いにして、そして涙と血を伴って、ヨーロッパの諸君が、大阪の諸君が、

 韓国の諸君が、中国の諸君が、

 直接行動の実例を示してくれた。それが2008年だった。

 そして2009年を迎えて、ますます緊張関係は、キング牧師の夢は、

 全世界を包みつつある。


 インテリ諸君よ。

 君らには英語力がある。

 君らには金とヒマがある。

 彼らの失敗と涙と、

 彼らのライフファックのノウハウを学ぼう。

 ネットにはその材料が山ほどある。



 これを見て、泣かずにいられるだろうか?

 しかしこれはただのワンステップに過ぎない。


 そして、想像しよう。

 「最初の一人」のことを。

 彼らは待たなかった。

 彼らは機が熟するのを待たなかった。

 いや、機が熟するのを待っていたら、永遠にそうであり続けたであろう。

 しかし彼らは立ち上がった。行動した。それが「機」を作った。

 これが、マルクス主義者の裏技、自由と必然の弁証法である。

 だからベンヤミンは絶望的な状況にあって、なお歴史を信じた。


 しかし僕らは、「最初の一人」のことを知らない。


 しかし僕らには、想像力がある。


 その上で問おう。

 君は「大衆」が覚醒するのを待ち続けるのか?

 君は「メディア」や「教育」を言い訳にして、

 自由から逃走するのか?


 しかしサルトルは言った。

 そしてサルトルが言ったことは全て正しい。

 自由から逃れることはできない。

 人間はどこにいても、どこに行っても、

 いかなる状況においても、自由である。


 インテリ諸君よ、以上が僕の言いたかったことだ。

 僕が僕に対して問うていることだ。

 僕は言いたいことを、言った。


 諸君のレスポンスを待つ。


 追記

 あ、あと金平さん。ユダヤ資本がうんぬんかんぬんって、いや、もちろんあなたはそれを否定してるわけだけど、ほのめかすだけでも完全アウトだよ。絶対の100%で保障するけど、それはないから。ってことはそれを取り上げること自体、既に反ユダヤ主義だよ。っていうか、アメリカのユダヤ人、そしてイスラエルユダヤ人の中には、それこそ体を張って戦ってる人いるよ。後者については多数派とは言えないけど。まず、反ユダヤ主義と反シオニズムの違いについて勉強することから始めることをオススメします。ネットで、30分で完了します。


*1:唯一の例外があるとすれば、NHKである。