(元)登校拒否系

反学校、反教育、反資本主義、反歴史修正主義、その他もろもろ反対

革命的前衛党が東京地裁にブルジョア法の基礎の基礎を懇切丁寧に指導します




「写真集出版で退学処分は無効」女性タレントの訴えを棄却


 写真集の出版を理由とした退学処分は無効だとして、女性タレント(19)が桐朋女子高校(東京都調布市)を運営する桐朋学園を相手取り、処分の無効確認を求めた訴訟の判決が27日、東京地裁八王子支部であった。

 桐ヶ谷敬三裁判長は「原告は芸能活動の禁止を知っていたと認められる」と述べ、女性の訴えを棄却した。

 判決によると、女性は2004年、同高に入学。学校側は、入学時に芸能活動を禁止するとの内容の書面を配って生徒や保護者に知らせるなどしていたが、女性は06年7月に写真集を発売し、同10月、退学処分を受けた。

 女性側は、生徒に交付される「学校生活の手引き」には、芸能活動禁止の項目はなかったと主張していた。

 女性は「学校に戻って卒業したいという気持ちを裁判官に理解してもらえなくて、とても残念」とのコメントを出した。

(2008年2月27日19時10分 読売新聞)


http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080227-OYT1T00325.htm

 判決が不当かどうかと言えばもちろん不当ですが、そもそも論点がズレてます。規則の周知徹底が計られていたかどうかとか、どうでもいいことです。

 まず、ブルジョア法について第一に学んでおくべきなのは、選択の余地のない同意だの約束だの契約だのは無効であるということです。これ、自由民主主義社会を防衛するための基本中の基本です。「〜は禁止だよ」という通知が仮にあったとして、その時点で「いや、私は別にそんなの気にしないから」という意志を表明してたらどうなりましたか? こう言われてピンと来ない場合は、「日韓併合条約」をググってみてください。

 ただし、今回は私立学校であること、義務教育ではない(ことになっている)高校であること、という事情があるので、やや微妙ではあります。

 けれども実はそんなことはどうでもいいのです。

 今回の問題は、第一に職業差別です。あるいは、表現の自由の問題です。これについての判断をしなければなりません。

 たとえば、ハンセン氏病の元患者の宿泊拒否をするのは違法。ロシア人の入浴を拒むのは違法。部落差別は、民間企業がやったとしても普通に違法です。

 この程度のことは従来のブルジョア法廷も問題なく判断してきました。

 日本国憲法が裁判所に要請しているのは、<仲裁>ではなく<正義>です。約束したとかしないとか、破ったとか守ったとか、そういうことよりも上にある次元が、職業差別は容認されるべきかどうかってことです。

 職業差別がある。それが規則になる。たとえそれが周知徹底されようが、「自由意志」によって合意されようが、そもそも差別であるのだとしたらそもそも憲法違反です。


 それはともかくとして、今回も泣けばいいのか笑えばいいのか、よくわからないニュースでした。ウッディ・アレンが(ユダヤジョークを引用したフロイトを引用したマルクス兄弟を引用して?)「私をメンバーにするようなクラブには入りたくない」と言ったそうですが、これを裏返す必要があるかもしれません。このような理由で生徒を退学にさせる高校に、いったいどれほどの名誉(笑)が残っているのか? このような判決を出すような裁判所にどんな権威(笑)があるというのか? 不当に生徒を退学させるような学校から退学処分を受けないとしたら不名誉だ。不当判決を出すような裁判所からまともな判決を受けるとなんか気まずい・・・。

 その意味で、原告女性の名誉は1ミリたりとも傷ついていない。

 けれども。けれども人生は続く。

 いばらの道かもしれない。だから、他人事ながら、泣いておくべきか、笑っておくべきかわからないまま、泣き笑いになってる。