(元)登校拒否系

反学校、反教育、反資本主義、反歴史修正主義、その他もろもろ反対

フェミニストは宮内庁長官の「苦言」を歓迎しよう--雅子さまへの古き良き暴力とポストモダンな支配について



 ウホッ! 全国のフェミニストの皆さん、お加減いかがですか? 反自由党です。我々は天皇制を打倒することを目指していまっす。もちろん革命が成功したら宮内庁なんか廃止です。けれども羽毛田さん(なんとお読みするのでしょう?)がとても良いことを言ったので、この方のご一族は革命後も優遇することになりました。今回はそのお知らせです。


皇太子さま発言「今後に期待」=「苦言」に複雑な心境−羽毛田宮内庁長官

2月28日18時1分配信 時事通信


 宮内庁羽毛田信吾長官は28日の定例記者会見で、皇太子さまが誕生日に際しての会見で「(天皇、皇后両陛下にお会いする)参内の頻度についてできるだけ心掛けたい」と話されたことについて、「よくお考えの上でなされたと思う」とした上で、「参内以外でもおっしゃっていただいたことが実行に結び付いてほしい」と述べ、今後に期待感を示した。

 羽毛田長官は13日の定例会見で、参内の回数について「依然として少ない」とした上で、皇太子さまが以前の会見で両陛下と長女愛子さまが会う機会をつくっていきたいと話したことについても、「ご発言を大切にしていただきたい」と苦言とも取れる指摘をした。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080228-00000117-jij-soci


 最近の社会学的な論文を読んでみてください。「ポストモダンな権力」「柔らかな支配」「見えない権力」「<従属>としての<抵抗>」・・・。書いてあることはだいたい同じですから、実際に読む必要はありません。要するに、権力はますます巧妙になり、とらえどころのないものになりつつあるのです。それでもささやかな抵抗はあるわけですが、「弱者の戦略」は逆説的に支配を強化するものとして断罪されます。

 困った!

 という状況なわけですが、宮内庁長官の発言は朗報です。なんてわかりやすくて、誰もがすぐにムカつける言葉なのでしょう! むき出しの暴力がここにあります。

 雅子さまが家父長的支配から解放されることを心から祈ってます。

 けれどもその日がいつ来るかは革命政党と言えども保証できません。

 最悪なのは、このような支配の構造が温存されたままに、「選択の自由」という幻想が演出されることです。皇太子が天皇に娘を会わせたいと発言したことは、このような悪質な支配を背景としたものでした。ここには、強制されていることを自らが望んでいるかのようなゴマカシがあります。そのような幻想を一瞬にして崩壊させたのが、羽毛田さんの「苦言」です。

 ジジェクいわく、


日曜の午後、(子どもが)祖母を訪ねなければならないとしよう。古き良き全体主義的な父は言うだろう。


聞きなさい。お前がどう思おうが知ったことではない。お前は行って行儀良くしていなければならないのだ。

これならば良い。抵抗することもできるし、何も損なわれはしない。

 しかし、いわゆる寛容でポストモダン的な父だとしたら、彼が言うのは次のようなことだ。


お婆ちゃんがどれだけ君のことを愛しているかということはわかっているね。けれども、お婆ちゃんのところに行くべきなのは、君が本当にそうしたい場合だけなんだよ。

さて、バカではない子どもは(そうだ彼らはバカではない)、この自由選択の外観は、はるかに強力な命令を隠匿しているということを知っている。つまり、祖母のもとに行かなければならないだけではなく、そうすることを好まなければならないということだ。


[01:40くらい以降]





 宮内庁長官の暴力は、少なくともこの「自由」の外観をキャンセルする効果を持っています。

 けっこうなことです。誰もが安心して、この暴力と対決することができます。

 雅子さん、「(元)登校拒否系」をアンテナ登録していただいているでしょうか? どんな演出がなされようとも、あなたが被られている暴力は、ちゃんと見えていますよ。私は今日も泣きました。メンヘラーからメンヘラーへ、そのことが伝えたくて筆を取った次第です。


参考


・・・[ひきこもり患者の]治療者は、初回面接の段階で、可能な限りみずからの立場の「公正さ」を証し立てなければならない。具体的には、少なくとも以下のような点について明言しておく必要がある。

  • 私は治療者として、就労が無条件に善であるとも考えていないし、ひきこもりが無条件に悪であるとも、まして病気であるとも考えていない。
  • それゆえ、あなたの状態が病気かどうかの判断については迷うところも大きいし、正直まだよくわからない。
  • だから少なくとも、あなたにこちらの価値観を押しつけたり、治療を強制したりするつもりはない。
  • ただ、あなたのご両親が困って相談に通っていることからの推測として、ひょっとするとあなたも悩んだり困ったりしている可能性はあるのではないかと考えている。
  • また、あなた自身の悩みや苦しみを、誰にも相談できずにいるうちに、あなた自身もその存在をないことにしようとしている可能性についても想像してみた。
  • もしそうであるなら、私は治療者という立場から、問題解決のために何らかの協力ができるかもしれない。

(中略)


  • もし治療が少しでも役に立ちそうだと感じられたら、少し続けて治療に通ってみてはどうだろうか。これは指示でも提案でもなく、私からあなたへのお願いである。

斎藤環id:pentaxxさん), 「ひきこもりの個人精神療法」, p 104, 『こころの科学』, 123(「特別企画:ひきこもり」), 2005年9月.


こころの科学 123号 (123)

こころの科学 123号 (123)

  • 出版社/メーカー: 日本評論社
  • 発売日: 2005/08
  • メディア: ムック


関連エントリー

「選択の幻想から反学校の政治へ」第一回 第二回 第三回